先日、77歳の母が普段使っている椅子から立ち上がる様子を見ていて、改めて気づいたことがありました。
それは、
高齢者の場合、椅子の高さがほんの少し違うだけでも、立ち上がりやすさが大きく変わる
ということです。
今回、実際に2種類の椅子から立ち上がる様子を動画にしました。
実際の違いを見ていただくと分かりやすいと思います。
高齢者は、椅子の高さが少し違うだけで立ちやすさが変わる
最初に座っているのは、母が普段から使っていた椅子です。
高さはだいたい膝くらい。
さらに背もたれがあるため、座っているうちに背もたれへ身体を預けやすくなります。
すると、
骨盤が後ろに倒れ、腰や背中が丸まった姿勢になりやすくなります。
この姿勢から立ち上がろうとすると、身体を一度前に大きく移動させてから、脚で身体を持ち上げなければなりません。
そのため、脚力が低下している高齢者にとっては、立ち上がる動作そのものが負担になりやすくなります。
低い椅子の場合
- 低め+背もたれ
- 寄りかかることで骨盤が後ろに倒れやすい
- 背中が丸くなりやすい
- 立ち上がるために大きな力が必要になる
動画を見ても、立ち上がるまでに少し勢いを使っているのが分かります。
ほんの少し椅子を高くするとどうなる?
後半は、先ほどよりも少しだけ座面の高い椅子です。
さらに背もたれがありません。
すると自然に自分の体幹を使って座るため、先ほどより姿勢が安定しています。
背骨も理想的な形を保ちやすいです。
膝や股関節も深く曲がりすぎないため、身体を前へ移動させてから立ち上がる動作も小さくなります。
その結果、
スッと立ち上がることができています。
少し高い椅子の場合
- 膝より少し高め
- 深く座り込みすぎない
- 体幹を使って姿勢を保ちやすい
- 立ち上がるときの負担が少ない
たった数センチの違いでも、高齢者にとっては日常生活のしやすさが大きく変わることがあります。
「筋力をつけましょう」だけではない
高齢になると、
「脚の筋肉が弱くなったから立ちづらい」
と考えがちです。
もちろん筋力は大切です。
しかし実際には、
身体だけではなく、生活する環境を身体に合わせることも非常に大切です。
例えば、
椅子の高さを少し変える。
ベッドの高さを調整する。
手すりの位置を変える。
よく使う物を取りやすい場所へ移動する。
こうしたちょっとした工夫だけでも、毎日の身体への負担は変わります。
特に「座る→立つ」という動作は、1日の中で何度も繰り返します。
毎回少しずつ頑張らなければ立てない椅子と、自然に立ち上がれる椅子。
これが毎日積み重なると、その差は小さくありません。
“生活しやすい環境”も身体づくりのひとつ
身体づくりというと、
筋トレやストレッチをイメージする方が多いと思います。
しかし高齢者の場合は、
「どうすれば今の身体で安全に、楽に生活できるか」
を考えることも、とても大切です。
筋力を維持する。
身体を動かす。
姿勢や動作を整える。
そして、
生活する環境を身体に合わせる。
これらを組み合わせることで、年齢を重ねても自分の身体で生活しやすい環境を作ることができます。
“生活しやすい環境”も身体づくりのひとつ。
ご両親が「最近、椅子から立つのが大変そうだな」と感じたら、筋力だけを見るのではなく、まず普段使っている椅子の高さや座り方も一度確認してみてください。

