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〜運動誘発性鎮痛(EIH)とは?脳と身体の不思議な関係〜
「運動した後、なんだか痛みが軽くなった気がする…」
そんな経験、ありませんか?
これは単なる気のせいではなく、**運動誘発性鎮痛(EIH:Exercise-Induced Hypoalgesia)**と呼ばれる現象です。
実際にこのEIHには、脳と身体の両方が関わる、科学的なメカニズムがあります。
今回はこのEIHについて、どのような仕組みで痛みが軽減されるのかを解説し、臨床やセルフケアにも役立つヒントをお届けします。
◆ EIHとは何か?
EIHとは、15分以上の運動によって全身の痛みが軽くなる現象のこと。
さらに、”ランナーズハイ”のような気分の高揚やリラックス効果も同時に現れることが知られています。
このEIHには、大きく分けて2つの働きが関わっています。
- 脳(中枢)による作用
- 筋肉・関節(末梢)による作用
◆ 脳が起こす4つの「痛みブロックシステム」
- 脳報酬系
運動により「ドーパミン」が分泌され、痛みの不快感が和らぎ、気分も改善されます。 - オピオイド鎮痛系
脳内の「モルヒネのような物質(内因性オピオイド)」が分泌され、痛みの信号を遮断。高強度の運動で活性化されます。 - 下行性疼痛抑制系
脳の運動中枢から中脳、脊髄へと指令が伝わり、痛みの伝達を脊髄レベルでブロック。 - 内因性カンナビノイド系
リラックスと鎮痛の両方に関与。適度な運動(最大心拍数の70%前後)で最も活性化されます。
👉 驚くべきことに、運動を”イメージする”だけでもこの中枢の作用は発動します!
◆ 筋肉と関節がもたらす「局所的」な痛み軽減
- 筋肉の収縮によって「BDNF」や「IL-6」などの**抗炎症・鎮痛物質(マイオカイン)**が分泌され、痛みの改善に寄与します。
- 関節運動では、感覚受容器が刺激され、脳へと信号が届くことで痛みを抑える反応が引き起こされます。
ただし、これら**末梢の効果は“運動した部位だけ”に限られます。
全身に痛みを軽減するためには、やはり脳の働き(中枢機序)**がカギになるのです。
◆ 臨床応用:痛いところが動かせないときは?
「膝が痛くてスクワットは無理…」
そんな方でも、まずは**痛くない部位の有酸素運動(ウォーキングなど)**からスタートすることで、
全身の痛み軽減が期待できます。
徐々に痛む部位の運動に移行していくことで、より自然な回復が可能になります。
◆ 続けられる運動には工夫を!
- 「歩く時に肩を振る」など、課題を意識したタスク歩行
- **ゲーム感覚(VRやアプリ)**で集中力や楽しさを高める
- 小さな目標をこまめに設定して達成感を積み重ねる
これらの工夫で、運動を無理なく継続できるようになります。
◆ まとめ
✔️ 運動は、ただ筋肉を動かすだけでなく「脳」も一緒に活性化させることで全身の痛みを緩和します。
✔️ 痛くて動けない時でも「できるところから」始めることで効果は期待できます。
✔️ 運動は正しく行えば、副作用のない“最強の鎮痛剤”にもなります。
✔️現に私も筋トレ、ゴルフのお陰で体の不調に悩んでおりません。
もしあなたやご家族が「長引く痛み」で悩んでいるなら、今日から無理のない運動を始めてみませんか?
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